開講式の数日前から水道水の水温を測定していました。籾まきする種籾(たねもみ)を芽出しするために数日間水に浸けておく必要があるからです。
昨年稲刈りした稲を種籾として保管しておきました。種籾とは稲の種です。この種籾を蒔いて苗を育て、その苗を田んぼに植える作業が田植えになります。保管した種籾は、すべてが種になるわけではありません。まずバケツの水に浸け、浮いてくる粃(しいな)と呼ばれる中身のない籾を除きます。沈んだ籾の中からさらにしっかり実が充実したものを選りすぐるために、卵の表面が水から出るくらいの濃度の塩水に浸します。この塩水に沈んだものを種籾として使います。塩水選した種籾を積算温度が100℃になるように水に浸けて発芽させるのが芽出しの作業です。芽が出すぎても籾まきの時に傷つけてしまうので、数ミリだけ芽が出るようにしなければいけません。水温を調べ、籾まきの日から逆算して開始日を決めます。日に日に水温が上がり、金曜日の朝には芽が出てきてしまっているものがありました。本来なら芽出しの最後はぬるま湯に浸けて一斉に芽を出させるのですが、今回は芽が出すぎてしまう心配があったので、水温を上げる作業は行いませんでした。


前置きが長くなりましたが、籾まきから塾生のお米作りがスタートします。種籾を苗代と育苗トレーに蒔き、田植えで使う苗を育てます。苗代が畑、育苗トレーが鉢に種まきをするという説明でわかるでしょうか。

まずは育苗トレーの準備です。

土を敷いたトレーに種籾をまいていきます。未来塾ではもち米、黒米、愛知のかおり、日本まさり、伊勢いかりの5種類のお米を育てます。各品種が混ざってしまわないよう注意しながら作業をします。育苗箱も苗代も、田植で苗を取り分ける際に根を傷つけてしまわないように

種が重ならないように

しなければいけません。1枚のトレーに150gの種籾をまくのですが、小さな子も土の上から覗きこみながら一生懸命作業していました。
黒米の種籾を蒔き終わると、トレーの中に白い籾が目立ちました。

籾が白くても中が黒いこともありますが、

気づいたベテラン塾生さんたちが白いものだけ取り除いてくれました。
籾蒔きを終えた育苗箱は、簡易ハウスを作って管理します。ハウスは寒の戻りや雨で土や種籾が流れてしまう心配から守ってくれます。

育苗トレーと並行して苗代でも苗を育てます。開講式の時には土が乾き歩けていた苗代に水を入れ、耕し、苗を育てる場所である畝を作っておきました。水を張った田んぼに入るのが初めてだったのか、足を取られて畝を踏み足形の穴をあけてしまった子もいました。

水を張った苗代に籾を蒔いている様子を見て、品種が混ざってしまう心配をされていた方がいました。でも、昔ながらのお米作りはきちんと考えられています。あらかじめ水より比重の高い塩水選をしてあるため、水に落ちた籾はすぐに下へ沈んでしまいます。塾生の皆さんが、きちんと説明を聞き決められた畝に正しい籾を蒔けば

水の量が増えても苗代の中で混ざってしまうことはありません。
種籾を蒔き終え、苗代の周りに立てた竹の杭に横木を縛り付けます。乾いていても横木の長い竹は重みがあり、適当に縛っても後に緩んでしまいます。あらかじめスタッフの川口さんから講習を受けた精鋭たちが手早く

横木を杭に縛り付けていきました。最後に防鳥ネットを張り、隙間ないよう竹の重しをして今日の作業が終了しました。
あとは苗の成長に合わせて水の量を調整していきます。半月もすると苗が育ち畝が緑色になってきます。

塾生の皆さんも各ご家庭で苗作りを頑張ってくださいね。
今日はスタッフの人数が少なかったこともあり説明不足だったようで、使わないはずの畝に籾蒔きがされていました。萩原副塾長からのお話にもありましたが、間違えた作業やケガ防止のために、新規の方はもちろん以前から継続されている塾生の皆さんも、開始時間には集合し説明をきちんと聞いてから活動をしていただければと思います。未来塾は親子で活動する場を提供しています。田んぼの外から子どもの様子を見るのではなく、お母さん方も横に並んで一緒に泥だらけになって活動していただきたいと考えています。大人になって泥だらけになれるなんて貴重な経験ですし、お子さんにとっても記憶に残る楽しい思い出になりますよ!
今後稲刈りまでの田んぼの活動は、水を張った田んぼに入ります。ひざ下まで水に浸かっても大丈夫な服装でお越しください。慣れていないと長靴では足を取られてしまいます。田んぼ用の長靴もありますが、裸足で土の感触を感じることも楽しいと思います。脱ぎ履きしやすいサンダルがあると便利です。
これから田んぼに来るたびに稲の成長が見られるので楽しみにしていてください。