
苗の生育状況が良くなかったため1週間延期した田植えでしたが、苗代の苗も順調に育ちましたので、曇り日の穏やかな今日「とみつか未来塾」やまかわの田んぼの田植えを行いました。
スタッフは少し前に田んぼに来て、苗代を覆っていた網を片づけ、杭を抜き、シートを敷いたり、日よけを張ったりして準備をしていましたが、始まりの10時ごろには塾生の皆さんが集まってきました。
今日参加の塾生は10家族28名、一般参加4名、スタッフ12名です。
副塾長萩原さんの進行のもと、初めに川口塾長から「大昔からしている通りの、人が手で植える田植をこれから皆でやりましょう」とご挨拶、次に森光副塾長から「マムシに気を付けて、川には子どもだけでは行かないように」との注意事項と今日の作業の手順の説明がありました。
始めに日本まさりの苗取りをして、その苗を真ん中の川寄りの田んぼに植えます。次に南端の田んぼに黒米の苗を植え、最後に塾生の皆さんが育てた苗「愛知のかおり」を真ん中の山寄りの田んぼに植えるというのが今日の作業の予定です。
いよいよ作業の始まりです。苗代の中の「日本まさり」の苗取りをします。このお米は、以前に初代塾長の和久田さんが皇居のお米作りの奉仕作業の折に、誰かのポケットに入っていた一粒のモミをもらって育てた皇居のお米です。今では毎年「とみつか未来塾」で収穫するうるち米の約三分の一量はこのお米です。大事に育てたなら、たった一粒のモミでもネズミ算のように沢山に増え続けていくことを証明してくれた、いわれのあるお米なのです。


苗取りの仕方をお百姓の先生の宍戸さんから教えていただきました。抜くときには苗を傷つけないように根っこを持って抜いて泥をすすぎ落とし、根を揃えてまとめたら藁で一まとめに括ります。道理にかなったこの括り方が慣れるまで難しいのです。


一斉に若緑の苗代の中へ入り、皆で苗取りを始めました。苗代の水は丁度好い水温で気持ちが好かったです。初めは裸足でも良いのかなと考えていた塾生たちも、泥の気持ち良さがすぐに分かってきます。
宍戸さんに教えていただいたように苗を抜いて、持ち


運びが良く田植えがしやすい束にしていきました。難しい苗の括り方を、子どもの塾生がお父さんに教えてもらっていました。
苗取りをしているうちに、苗代の中にカエルやザリガニなどいろんな生き物がいることに子どもの塾生たちは気が付き始めました。


苗取りが終わって小休止しました。苗代の脇には小さな菖蒲園があります。紫や黄色の花菖蒲が咲き始めて、時折鶯の声が聞こえてきました。
いよいよ田植えの始まりです。始める前に今日出席の塾生の皆さん、家で育てた苗を持って記念撮影をしました。


さっき苗取りした「日本まさり」の苗を、真ん中の川寄りの田んぼに植えます。森光さんから苗の植え方を教えていただきました。「縦横に整然とマス目が通るように苗を植えるために、植える場所に印が付いた竹の棒を、あらかじめ基準に植えた苗の間に置き、印の位置に3本


ずつ泥の中に差し込んで植え付けて行きます。稲は分げつを繰り返しながら成長していくので、3本が植え付けるのに丁度良い本数なのです。足で穴があいてしまったところは泥を埋めて苗を植えて下さい」と説明されました。
皆一斉に田んぼに入って田植えが始まりました。ぬかるんでいる田んぼの中は転びそうになりますが、教


えていただいたように夫々の家族が横に並んで、竹の棒を渡して印の位置に3本ずつ苗を植えて行きました。時々転んで泥んこになった人もいましたが、穴があいた所は丁寧に泥でふさいで植え付けていました。
畔に立って、「ママー」とお母さんに甘えて呼びかけ

ていた二人の幼い女の子たちが、いつの間にか泥のお団子作りを始めていました。
1枚の田んぼの田植が終わり、田んぼから上がった泥んこ用のズボンを穿いたS君は、その通りに泥んこになっていました。

お昼休みが終わって午後からは、黒米の田んぼの田植です。
午前中の田植の時は、田んぼに入らないでお母さんとお兄さんが

植えるのを見ていたKちゃんが、田んぼに入って一緒に植え始めました。横には午後からやって来た肌かんぼう大将のT君が元気に田植えをしていました。皆熱心に田植えして、田んぼの中は賑わっていました。
さっきはお母さんに甘えて畔から離れなかった2歳のYちゃんが、

突然トコトコとお母さんから離れて昼休みをしたテントの方に行きました。追いかけていくと、作った大事なお団子を見せてくれました。それからおしっこをしたいと言ったので、お兄さんがついて、手の空いたスタッフも一緒に、かなり離れた椎の木谷公園のトイレまで付いて行ったそうです。裸足だったので途中の石ころの道は痛いので、痛くない草の生えてる場所を選んで歩いていたそうです。こんなに幼い子どもでも、その場に応じて考えて対応ができるものなのだと感心しました。

黒米の植え付けも済んで一休みの間、子どもたちは生き物探しに熱中していました。今日初めて田んぼの生き物を知った子どもが、「どうしたら捕まえれるの?」と仲間にザリガニやカエルの居場所を教えてもらっていました。

次は塾生の皆さんが家で育てた苗「愛知のかおり」を植えます。植える前に午後にやって来た塾生の記念撮影をしました。

「愛知のかおり」は真ん中の山寄りの田んぼに植えます。今日の塾生の皆さんの苗は南の端に植えました。自分で蒔いて芽を出し育てた苗がどんな稲になり、どれだけのお米が収穫できるか、今日植えた場所を覚えていて、これから先時々注意して見守ると面白いですね。


自分の苗を植え終わってしまった塾生の皆さんは、もっと植えたいという情熱が残っていましたから続きで「愛知のかおり」をこの田んぼの半分まで植えてしまいました。
家族から離れて田んぼに残っていたS君が、


今日田んぼで知り合った別のご家族の中に入って、協力して田植えをしている姿が心に留まりました。
今日の田植は予定通りに完了しました。終わりの時皆さん満足そうに帰って行かれました。ありがとうございました。お疲れ様でした。
明日はうるち米の「愛知のかおり」残り半分と、もち米の苗を植えます。皆さんが家で育てた苗も植えますから、忘れずに持って出席して下さい。お待ちしています。